18世紀のヨーロッパは、バロック様式から曲線的、豪華なロココ調へと絵画の人気が変化していました。
アントワーヌ・ワトーそのロココ調の代表的な画家でロココ調が人気となるきっかけともなった画家と考えれれています。
「シテール島の巡礼」はワトーがフランス王立美術アカデミーに入会が認められた作品ですが、ワトーの才能を見込んでいたアカデミー側から作品の提出を求められて制作した作品のようです。
シテール島の巡礼
シテール島は、ギリシャ群島にある島で愛と美の女神ヴィーナスが流れ着いたとされる島で、愛の島と考えられ、この島にカップルで訪れると、愛が成就すると考えれらていました。
「シテール島の巡礼」
(1717年)
ワトーは、着飾った若いカップルたちが島を出発しようとしている様子を描いています。
また、作品右側にはヴィーナス像とキューピットとされる子供が描かれています。
像とともに描かれているバラはヴィーナスのトレードマークであることからこの像がヴィーナスであことを表しています。
子供は矢筒を踏んでいることから子供はキューピットを表していることがわかります。
3組のカップル
作品の中心となっているのが3組のカップルです。
それぞれ違う服装のため別々のカップルが描かれていると思われますが、右から左に時間が流れているようにも解釈できます。
右のカップルの女性の服を子供(キューピット)が引っ張ており、二人の仲を近づけたのかもしれません。
その後、男性は女性が立ち上がるのを手伝っています。
左の女性はその場を立ち去るのを名残惜しそうに振り返っています。
当初、本作品は「シテール島への船出」と呼ばれシテール島へ出発する場面と考えられていたのですが、ヴィーナス像がいること、それぞれのカップルの仲が親密な様子が描かれていることからシテール島を出発するところと考えれらています。
印象派の巨匠クロード・モネがルーヴル美術館で一作品がもらえるならばこの「シテール島の巡礼」をもらうと言っています。
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