ラファエル前派の影響とルネサンス期のミケランジェロなどの影響を受けたイギリス人デザイナー、エドワード・バーン=ジョーンズの作品です。
ラファエル前派は当時の画壇で主流とされたラファエロ・サンティをはじめとしたルネサンス盛期の画風に反発した若手画家グループでしたが、ジョーンズはラファエル前派が否定したルネサンス期の巨匠ミケランジェロの画風を研究、自身の作品で表現しています。
本作品「運命の車輪」は評価が高く似たような構図で5作品制作されています。
もっとも有名な作品がオルセー美術館所蔵の作品でラファエル前派とルネサンス期の画風の融合が最も表現された作品とされています。
エドワード・バーン=ジョーンズの肖像
作品 運命の車輪
ラファエル前派のロセッティから創作に関するアドバイスを受けるなど、ジョーンズはラファエル前派の影響を受けていました、数年のイタリア旅行によりルネサンス美術を鑑賞、影響を強く受け作品で表現しています。
「運命の車輪」
(1875-1883年)
本作品は車輪が画面いっぱいに描かれる斬新な構図で発表後すぐにラファエル前派の傑作と評価されました。
3人の男性
車輪の上に描かれている3人の男性は上から奴隷、王、詩人を表しています。
上の男性の足には足枷があることから奴隷を、二人目の男性には王冠と王が持つ杖があることから王を、三人目の男性には月桂冠が描かれていることから詩人を表しています。
男性の裸体はミケランジェロの画風の影響を受けていると言われています。
王が奴隷に踏みつけられるなど、いろいろな階級の人間も運命には逆らえず翻弄されることを表現しています。
詩人が運命の車輪を回す女神に訴えるような視線を向けているのが印象的です。
車輪を回す女神
非力な3人の人間の対として巨大な車輪を司る女神が描かれています。
女神の表現は服の細かいひだの様子の表現などルネサンス期のボッティチェッリの影響を受けていると言われています。
作品はグレーや茶色など抑えた色彩で描かれ、「人間の力ではどうにもならない状況」や「現在の状況も永遠には続かないといったはかなさ」を表現していると思います。
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