16世紀から17世紀初頭に活躍したギリシャ生まれの画家エル・グレコが描いた宗教画「聖衣剥奪」です。
エル・グレコという名前は、「ギリシャ人」という意味で、本名はドメニコス・テオトコプーロスと言います。
長く引き伸ばされた人体などマニエリスム後期の作風で、徐々に好まれなくなりしばらく忘れられた画家となっていたようです。
作品:聖衣剥奪
「聖衣剥奪」
(1577-1579年)
平面的で上下に人物を積み上げていく作風はマニエリスムの特徴的な作風で、当時は斬新的な作風だったようです。
斬新的であったため、批判もあり注文主であったトレド大聖堂からの報酬が大幅に減額されたため裁判となり、最終的に大聖堂側が折れ、グレコは代金を受け取ったとされています。
グレコは、その後も何度か注文主と法廷闘争を繰り返したようです。
聖衣が剥ぎ取られる描写
聖衣剥奪とは、イエス・キリストが十字架に磔にされる前に、ローマ兵たちがイエス・キリストの衣を剥ぎ取り、奪い合ったという逸話です。
作品では、まさにその瞬間が描かれており、衣は鮮やかな赤色で描かれています。
左下で悲しむ女性たちは、①マグダラのマリア、②聖母マリア、③小ヤコブの母とされています。
エル・グレコは、その後の世間が自然主義的な作風を好むようになり、徐々に忘れられていきますが、19世紀になりピカソやセザンヌなどに再発見され、高く評価されるようになります。
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