ポスト印象派でクロワゾニスム(総合主義)を確立した一人とされるポール・ゴーギャンの作品「こんにちは、ゴーギャンさん」です。
本作品はゴーギャンが同じポスト印象派のフィンセント・ファン・ゴッホと南仏アルルで短期間ですが共同生活をした時期に描かれた作品です。
ゴーギャンはゴッホと一緒にファーブル美術館で写実主義のギュスターヴ・クールベの作品「こんにちは、クールベさん」を鑑賞し、その後、本作品を制作しました。
着想をクールベの作品から得たものの、構成は全く違った作品となっています。
作品 こんにちは、ゴーギャンさん
ギュスターヴ・クールベの「こんにちは、クールベさん」から着想をえていおり、題名も同様なものにしていますが、構成は全く違います。
「こんにちは、ゴーギャンさん」
(1889年)
「こんにちは、クールベさん」
(1854年)
クールベは旅の途中にパトロンと従者に出会い、パトロンが帽子を取って挨拶をうける場面を描いています。「自身の立場はパトロンと対応もしくはそれ以上である」という意味が表現されています。
一方、ゴーギャンの方は、自身と柵をはさんで、民族衣装を着た女性が描かれています。
とくにお互いの上下関係を示唆する表現はありません。しかし柵が描かれることで民族衣装の女性との距離を感じます。
ゴーギャン自身が女性とは違う世界にいるようなイメージを与えます。
クールベの作品とは異なり、背景の空は暗く畑の様子も冬のような描写となっており、明るいイメージは受けません。
あまり画家として成功していなかった当時のゴーギャンの心境を表しているようです。
この後、ゴーギャンはブルターニュ地方やタヒチなどへ向かい、クロワゾニスムの確立へと向かいます。
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