17世紀のスペイン宮廷画家で後年のエドゥアール・マネから”画家の中の画家”など、後年の画家たちに大きな影響を与えた画家ディエゴ・ベラスケスの作品「ヨセフの衣を受けるヤコブ」です。
本作品はスペイン宮廷画家として技術の研鑽や外交など任務の為、イタリアに滞在していた際に制作した作品の一枚です。
ベラスケスはイタリアで巨匠たちの作品を鑑賞するにあたり解剖学への関心も得て、本作品でも以前の作品に比べ、人体の表現を強調した作風となっています。
作品 ヨセフの衣を受けるヤコブ
本作品は旧約聖書のなかにある、ユダヤ民族の族長ヤコブが12人いる息子のヨセフを殊のほか可愛がったため、それを疎んだ兄弟たちはヨセフを売り払ってしまい、雄山羊の殺し、その血をヨセフの衣につけて父のヤコブに届ける場面を描いています。
「ヨセフの衣を受けるヤコブ」
(1630年)
210cmx285cmと大きめな画面に描かれた登場人物は、ベラスケスのキャリア初期作品と比べても動きが強調されておりいます。
色彩はテッツアーノなどのヴェネチア派の影響を強く受けていると言われています。
(ベラスケス初期の作品)「セビーリャの水売り」
(1620年)
イタリア滞在でベラスケスは解剖学に強く興味を持ったと言われ、人体の表現をより強調した作風となっています。
また、以前と比べて人の動きを強調している作風となっています。
ヨセフの衣を届けに来た兄弟たちと、驚くヤコブを強調するためか、他の登場人物や室内、背景は簡易的に描かれている印象を受けます。
本作品は画家自身がイタリア滞在時制作した他の作品「ウルカヌスの鍛冶場」とともにベラスケス自身がスペインに持ち帰っています。
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