印象派の女性画家でアメリカ人でありながらもヨーロッパ中を回り作品制作をしたメアリー・カサットの作品「ル・フィガロを読む(画家の母の肖像)」です。
モデルは題名にもあるようにメアリー・カサットの母親です。
ル・フィガロはフランスで最も古い歴史をもつ日刊新聞です。
メアリー・カサットが滞在しているパリに両親と妹が1877年にアメリカから移住、その翌年に描かれた作品です。
カサット家は株式仲買人として成功した父親、銀行家の出身の母親と裕福な家庭でした。母親はフランス語が堪能で、メアリーにフランス語を教える役割も担っていたようです。
作品 ル・フィガロを読む(画家の母の肖像)」
メアリー・カサットは母子をモデルにした作品が多いですが、成人の女性一人を描いた作品も多く制作しています。
本作品は、メアリーが最も身近な人物であり、最も信頼している母親を描いています。
「ル・フィガロを読む(画家の母の肖像)」
(1878年)
知的な母親の様子と白く落ち着いた服はとともに画面の対角線上に母親を配置して画面構成上も安定感を鑑賞者に与えています。
メアリー・カサットは、画面左手に鏡を描き、そこにはル・フィガロが映っている様子を描いています。
母親の教養の高さを表現しているとも言われていますが、主役となる母親を画面右に配置し、バランスをとるように鏡とそこに移された新聞を描いており、メアリー・カサットが最も影響を受けたエドガー・ドガ、さらにドガが影響をうけた日本の浮世絵の影響による画面構成とも言われています。
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