メアリー・カサットはアメリカ出身の女性画家ですが、ヨーロッパ中を周って巨匠の模写をするなど絵画の勉強をするなかでエドガー・ドガに出会い、ドガの作風に大きな影響を受けた画家です。
ドガに誘われて印象派展へも出品していますが、ドガと同様に印象派の他の画家達とは違い、基本的に人物を中心に描写した作品を多く制作しています。
ドガはオペラ座のバレエの踊り子を多く描いていますが、カサットはオペラ座で観劇する若い女性を描いています。
当時、旧オペラ座に代わって新オペラ座がオープンしたばかりで、オペラの観劇の他に社交場として訪れる人々が多く、桟敷席の女性は他の男性観客から見られる立場にもなっていました。
本作品では、そのような女性の姿を描いた作品です。
作品 桟敷席にいる真珠の首飾りをした女性
カサットは本作品を自身の姉リディアをモデルに描いています。
当時のオペラ座は観客席の女性も他の観客(男性)からの視線を受けることを認識しており、桟敷席でもポーズを決めていなければならなかったのかもしれません。
カサットは他にもオペラで観劇する女性を数点描いています。
「オペラ座の黒衣の女(オペラ座にて)」
(1879年)
「劇場にて」
(1878-1879年)
他の作品と比較して、本作品「桟敷席にいる真珠の首飾りをした女性」はきらびやかな配色で女性の服装も派手なドレスとなっています。
女性の背後には鏡が女性の背中とシャンデリア、観客性を映しており女性がその場の中心にいるような印象を受けます。
カサットは、観客席の女性が他の観客から見られる事には否定的で、「オペラ座の黒衣の女(オペラ座にて)」のような作品も制作しています。
しかし、本作品「桟敷席(さじきせき)にいる真珠の首飾りをした女性」では、自身の姉をモデルにしていることもあってか、否定的な印象派ありません。
反対に鏡が映すシャンデリアやオペラ座内の光をきらびやかに描いて、女性自身がきらびやかな印象を鑑賞者に与えています。
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