ルネサンス盛期の巨匠で聖母の画家と言われたラファエロ・サンティの初期の作品「テゥラヌオーヴァの聖母」です。
「聖母子と幼児の洗礼者聖ヨハネ、子供の聖人」とも言われています。
本作品には元となる素描も確認されており、素描から本作品への変更が判明している作品です。
また、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品から影響を受けている箇所も指摘されています。
作品 テッラヌオーヴァの聖母
作品名となっているテッラヌオーヴァとは、本作品を所有していた公爵家テッラヌオーヴァ家に由来しています。
「テッラヌオーヴァの聖母」
(1505年頃)
中央に聖母が幼子イエス・キリストを右手で抱え、左に聖ヨハネ、右に幼児の聖人が描かれています。
画中左の聖ヨハネは、ラクダの毛皮を着て十字架を手にした当時の聖ヨハネを表現する典型的な描写で描かれています。
幼子イエス・キリストが聖ヨハネに見せている紙片に書かれているのはラテン語で「神の子羊」を意味する「Agnus Dei」と記されています。
画中右の幼児の聖人は、特定できませんがイエス・キリストの従兄弟の聖ヤコブではないかと言われています。
聖母マリアの頭を頂点に三角形が構成され、それぞれの目線がイエス・キリストを中心に向けられるように描かれています。
本作品の元となったと考えられる素描がのこされており、素描から本作品の変更点がわかります。
素描では背後に天使と大人の聖人が描かれていますが、ラファエロは手すりと壁、風景に変えています。
手すりと壁を描くことで、作品の上下がはっきりと分けられ風景の描写が強調されているようにも思えます。
また、素描では聖母の左手はイエス・キリストに添えられていますが、本作品では手を広げたようなポーズととっています。
この聖母の左手のポーズは、レオナルド・ダ・ヴィンチと他の画家の合作と言われる「糸車の聖母」から得たアイディアとされています。
「糸車の聖母」(レオナルド・ダ・ヴィンチ)
(1501年頃)
コメント