ルネサンス盛期の巨匠 ラファエロ・サンティが亡くなる1-2年前に制作した作品とされる「友人との自画像」です。
「友人のいる自画像」「二人の肖像」「二重肖像」とも呼ばれている作品です。
ラファエロは色彩豊かな作品が多いですが、本作品は色彩を抑えた珍しい作品です。
作品中の左に立つ男性がラファエロと確定していますが、中央にいる男性のモデルははっきりと分かっていません。
また、発注者や経緯も全く分かっていない、ラファエロの作品としては珍しく不明な点が多い作品となっています。
作品 友人との自画像
「友人との自画像」
(1518-1520年)
ラファエロともう一人の男性は白いシャツに黒い上着といった似たような服装をしており、なにかのイベントごとか儀式の際の様子にも思えます。
作品の左側に立つ男性がラファエロであることは判明していますが、前に立っている男性のモデルはいろいろな候補者が言われていますが、特定されていません。
過去には剣に手を添えていることから、フェンシングの師匠と考えれらていたようです。
男性は鑑賞者に向かって指を指し、それについてラファエロに振り返っているようです。
ラファエロは、男性の指先というより鑑賞者に向かって静かに視線を向け、男性の肩に手を添え、落ち着くよう伝えているようです。
男性の動きのある描写に対して、ラファエロは自身で静を表現し、対比しているようです。
ラファエロの自画像としては、若いころの自画像(23歳頃)のものが非常に有名ですが、本作品「友人との自画像」は37歳頃のラファエロが描かれています。
「自画像」(ラファエロ23歳頃)
(1506年頃)
ラファエロは1520年4月6日の自身の誕生日に37歳で亡くなったとされています。死因は不明ですが「キリストの変容」を制作中に亡くなっています。
本作品「友人と自画像」は最晩年の作品となります。
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