バロック期の代表的な画家で祭壇画などでダイナミックな作品を多くのこしたピーテル・パウル・ルーベンスが、仲の良かった兄の子供を描いた作品です。
この作品は、注文を受けて制作されたのではなく、大型油彩画の制作に向けた習作として描かれました。
東京上野の国立西洋美術館に所蔵されており常設展示されている作品です。
作品 眠る二人の子供
本作品はルーベンスは、仲の良かった兄の子供2人を描いたのですが、作品の制作時点では既に兄は亡くなっており、残された幼子を描いたことになります。
「眠る二人の子供」
(1612-1613年頃)
ルーベンスの兄が13歳、ルーベンスが10歳の時に父親が亡くなり、兄弟は互いに助け合いながら生きてきたようで、二人は非常に仲がよかったと言われています。
そんな兄が残した2人の幼子に対してルーベンスは心を寄せていたと思われます。
他の作品の為の習作として描いた本作品は注文主からの要望などに気を遣う必要もなく、ルーベンス自身が自由に描いた作品としてとても温かみがある作品となっています。
X線による調査で当初、左側の子供は目覚めた状態で前方を向いた状態で描かれたことが分かっています。
作品 花輪の聖母
「二人の眠る子供」は他作品の習作として描かれましたが、ルーベンスとヤン・ブリューゲルの共作の「花輪の聖母」の習作だったのではないかと考えられています。
「花輪の聖母子」
(1620年)
ヤン・ブリューゲルはピーテル・ブリューゲルの息子で花や果物を好んで描きました。
ルーベンスが中心の聖母子と周りの天使をヤン・ブリューゲルが花輪を担当した共作です。
周りに描かれた天使のなかに「二人の眠る子供」と同じような表情の天使がおり、「花輪の聖母」の練習として「二人の眠る子供」を描いたと考えられます。
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