版画の浮世絵では、最初の版木で摺られたものを「初摺り」と言われます。
浮世絵は、一日当たり200枚ほど摺られ、ヒット作となると追加でどんどん摺られ、大ヒット作の歌川広重「東海道五十三次」になると一万枚以上摺られたと言います。
しかし、木版画の浮世絵は、摺れば摺るほど摩耗していき、版木の細かい部分の破損や線のぼけなどが発生し、版木を使いづづけることが難しくなります。
そうすると彫師が、あらたに作品をもとに版木を彫り直します。
あらたに彫り直された版木で摺られたものが「後摺り」です。
後摺りで変わる絵
本来、「初摺り」と「後摺り」は同じ絵とならなければなりません。
しかし、彫師の遊び心からや忙しさから摺師がぼかしを省くなど「初摺り」とは異なる絵で発売されることがありました。
歌川広重「東海道五十三次 戸塚」の初摺り
後摺り
「東海道五十三次 戸塚」では、絵師の歌川広重も加わり、絵の内容にも手が加えられています。
①戸板が追加され、背景が見えなくなっています。
②旅人が馬から降りるところを馬へ乗るところへ、歌川広重が描き直しています。
③外壁まで見えた町屋が茅葺の屋根だけになっています。
「後摺り」でわりと多くの箇所が変わっていますが、作品の名前は変わらず同じ名前で発売されていました。
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