ロマン主義を代表する画家ウジエーヌ・ドラクロワが1832年にモルネ公爵の4か月のモロッコ旅行に随伴した記念に制作した作品。
ドラクロワは、アフリカの強い太陽の下の鮮やかな色彩、また、当時流行していた東方世界への憧れもあり、深い感銘を受けたようです。
この作品は、その後、ルノワールやセザンヌ、ピカソに絶賛され、関連した作品も制作されています。
作品:アルジェの女たち
ドラクロワがアルジェリアのハレムを訪れた際の体験をもとに描かれた作品です。
作品に描かれているのは、側室の女性たちです。
「アルジェの女たち」
(1834年)

ウジエーヌ・ドラクロワ
「アルジェの女たち」
ルーヴル美術館蔵(フランス パリ)
新古典主義に対して、自由や個性を重視したドラクロワはロマン主義を確立します。
豊満で異国情緒あふれる服装、内装の色彩など後の印象派の画家達へも大きな影響を与えます。
ドラクロワは、15年後にもう1作「アルジェの女たち」を制作しています。
「アルジェの女たち」
(1849年)

ウジエーヌ・ドラクロワ
「アルジェの女たち」
ファーブル美術館蔵(フランス モンペリエ)
2作目の「アルジェの女たち」は1作目と比べ女性達はぼんやりとした眼差しをこちらに向け、色彩もぼやけたように感じます。
登場人物の数は同じですが、画面はより柔らかい印象を受けます。
ルノワール アルジェリア風のパリの女たち
ルノワールが、ドラクロワの「アルジェの女たち」へのオマージュとして制作した作品で、東京の国立西洋美術館に所蔵されている作品があります。
「アルジェリア風のパリの女たち」
(1872年)

ピエール=オーギュスト・ルノワール
「アルジェリア風のパリの女たち」
国立西洋美術館蔵(日本 東京)
ルノワールはドラクロワの「アルジェの女たち」を”現存する最も美しい絵”と絶賛しており、その作品のオマージュとしてこの作品を制作しています。
ドラクロワの作品と違い、女性はパリの女性たちで、中央の金髪の女性の身支度を黒髪の女性が手伝っている様子が描かれています。
当時はオリエンタリズムが流行っており、オリエンタル風の売春宿を描いたのではないかとも言われています。

コメント