15世紀の北ヨーロッパの画家で技術の高さから「神の手を持つ画家」と呼ばれたヤン・ファン・エイクの代表作「アルノルフィー二夫妻像」です。
作品の中の凸面鏡の中に結婚に立ち会う二人の人物が描かれており、そのうちの一人は、ヤン・ファン・エイク本人と考えられています。
当時はまだ、鏡を平面にする技術がなく、鏡は一般的に凸面でした。
ヤン・ファン・エイク
ヤン・ファン・エイクは青年時代までの記録が乏しく、詳しい経歴は不明な点が多いですが、30代半ばでフランドル(現在のベルギー)を治めるブルゴーニュ公国の宮廷画家となっています。
ブルゴーニュ公のフィリップ3世の寵愛を受け、侍従としても活躍、外交官を務めることもあったようです。
「ターバンの男の肖像」
(1433年)
ヤン・ファン・エイクの自画像と言われている作品
アルノルフィーニ夫妻像
「アルノルフィーニ夫妻像」
(1434年)
作品に込められた様々な寓意、凸面鏡に描いた室内の様子や人物、パネルに描かれた油絵としては最も古い作品として、西洋絵画史上でも貴重な作品とされています。
凸面鏡の中の様子
当時の技術では製造できる大きさのものよりも大きめの大きさで描かれています。
鏡のなかには、夫妻の後ろ姿と部屋の様子、立ち会う二人の人物が描かれており、一人はヤン・ファン・エイクと言われています。
寓意
足元の犬
小さい犬は忠誠を示すものとし、また性欲を示すこともあり夫婦が子供を欲していることを示しています。
サンダル
脱ぎ捨てられたサンダルは、二人が聖なる場所に入ったことを示していると言われ、婚礼を表しているとされています。
作者の署名
鏡の上にはラテン語で「ヤン・ファン・エイク、ここにありき1434」と明記されています。
このことから、凸鏡面のなかの一人は結婚に立ち会ったヤン・ファン・エイクと推測されています。
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