バッロク絵画の先駆けとなった作品を制作したイタリア ボローニャの画家アンニーバレ・カラッチの作品です。
兄と従兄も画家で、3人で美術学校を設立、多くの著名な画家を輩出するなど当時の美術界に大きな影響を与えました。
当時は、宗教的絵画や風俗画でも作品内に寓意を持たせることが一般的でしたが、本作品「豆を食べる人」では特に寓意は表現されず、男性がただ豆を食べている様子だけを描いた風俗画として、当時ではとても珍しい作品です。
作品 豆を食べる人
「豆を食べる人」
(1580-1590年)
豆を食べる男性をただ描いたとされる風俗画ですが、当時の農夫の素朴さと生活感が表現された作品として現在、評価さえている作品です。
本作品は、やや早く荒々しいタッチで描かれていますが窓からの自然光の描き方や人物の描写などは、印象派的な表現方法で描かれておりいます。
木のスプーンからスープがこぼれ落ちている様子も描かれています。農夫の視線は作品の鑑賞者に向けられているように見えます。
机の上にはパン、ベジタブルパイ、グラスに半分注がれたワインなどが描かれ、当時の農家の一般的な食事が分かります。
アンニーバレ・カラッチ
アンニーバレ・カラッチを含むカラッチ一族が設立した美術学校からは、「ベアトリーチェ・チェンチの肖像」の作者グイド・レーニを輩出しています。
「ベアトリーチェ・チェンチの肖像」
(1600年)
アンニーバレ・カラッチは1595年頃からボローニャからローマに出て枢機卿の庇護を受けて天井画などを作成、活躍しましたが、その後、精神を病んでしまったと言われています。
アンニーバレ・カラッチの「自画像」
(1590-1600年)
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