印象派に影響を与えた画家として知られ、自身も第一回印象派展に出展しています。
若い頃のクロード・モネに戸外での作品制作を教え、その後、モネは絵画の道へと進みます。
ブータンは、空を描く事に優れ、コローからは「空の王者」とも言われ賞賛されています。
ウジェーヌ・ブータン
フランス ノルマンディー地方の出身です。父親は水夫でした。
その後、父親は文具商として成功し、ブータンは11歳頃から画家の見習いとして絵画を学び始めました。
27歳頃から奨学金を得てパリで絵画を3年間学びます。ルーヴル美術館でオランダの画家の風景画の模写をしていたようです。
1859年にはサロンへ出展を果たし、その後もサロンへの出展を続け1889年には金賞を受賞、1892年に勲章を受けナイトの称号を得るなど大成しました。
第一回印象派展にもモネとの関係から作品を出展しています。
モネへの影響
10代後半のモネは、カリカチュア(戯画のようなもの)を描いて、文具店の店先に置いてもらっていましたが、そのうち注文が入るようになります。
モネの描いたカリカチュア
ブータンは店先のモネのカリカチュアを見て、油絵の勉強をするよう誘います。
ブータンは、まだアトリエでの絵画制作が当たり前であった当時、キャンパスを持って外に出て作品を制作する戸外制作を行っていました。
モネも同様に戸外制作をおこない、その後の印象派への作風へ発展していきます。
モネは、ブータンに連れられて戸外制作した「ルエルの眺め」をル・アーヴル市の展覧会に出展し画家の一歩を踏み出しています。
「ルエルの眺め」
(1858年)
トルヴィル=シュル=メール
1840年代以降から、ノルマンディー地方の各都市へはパリからの鉄道が開通し、ノルマンディーのセーヌ河口には多くのパリの新興市民たちが避暑地として訪れました。
トルヴィルもその一つで、ブータンも海岸の様子を多く制作しています。
「トルヴィル=シュル=メールの浜」
(1867年)
ブータンは、人々を平行に描き、空は高く描くとともに雲の描写など空の情景に比重を置いて描かれています。
上の作品では、全体的に青灰色のなかで浜辺にところどこ赤色が使用されアクセントとなっています。
「トルヴィルの浜辺の風景」
(1863年)
ブータンは、空を中心に自然の情景を描き、そこに訪れる人々に関しては小さく描かれています。
トルヴィルの浜辺 クロード・モネ
トラヴィルには、モネも訪れ作品を何点か制作しています。
「トルヴィルの浜辺」
(1870年)
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