印象派の先駆的な役割を果たすとともに後の画家達に大きな影響を与えたエドゥアール・マネの作品「ラテュイユ親父の店」です。
マネは、本作品「ラテュイユ親父の店」で当時の若い男女の情景を描きました。
19世紀から20世紀になりつつあった当時、まだ結婚は家や階級によって決められたものが徐々に自由恋愛による結婚が増えてきた時代で、若者たちが恋愛に積極的になってきた時代でした。
マネは、そのような当時の若者たちの様子を作品にしています。また、若い男女の他にカフェのウェーターを描くことで、当時の若者たちをみる社会の視点を描いています。
作品 ラテュイユ親父の店
作品に描かれているオープンカフェはパリに実際にあった老舗のカフェで、若い男性はそのカフェのオーナーの息子で、兵役についていた彼が帰ってきたのを記念して作品の制作を請け負ったようです。
「ラテュイユ親父の店」
(1879年)
女性は、マネの作品のモデルを良く勤めていた女優のエレン・アンドレに当初頼んでいたようですが、エレンが忙しく、思うように作品制作が出来なかったため他の女性に依頼、モデルとしています。
作品では男性が女性を口説いている様子が描かれています。
徐々に自由恋愛が認められてきていた時代で、絵画作品にはまだ、このような男女の様子を描いた作品は無く、新しい題材でした。
マネは、風俗画として当時の最先端の社会の情景を描き、1880年のサロンへ出品しています。
若い男女の奥にカフェのウェーターが描かれています。
飲み物をつぎぐタイミングを見計らっているようにも見えますが、若い男女を冷めた目で見ているようにも見えます。
カフェのウェーターは、当時の若者たちの様子を客観的にみている当時の社会の視線を表現しているのかもしれません。
本作品はサロンにて最新の社会の情景を描いた作品として評価されています。
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