印象派の先駆的画家エドゥアール・マネの晩年の作品「温室にて」です。
本作品は、当時マネがアトリエとして借りていた部屋に隣接していた温室で、友人夫妻のジュメール・ギュメ夫妻を描いた作品です。
上流階級の夫婦の肖像画は昔よりよく描かれていましたが、本作品では、温室内の異国情緒あるあざやかな緑の草木を背景に当時の上流階級の夫妻の様子を描いています。
また、本作品はギュメ夫妻にモデルを頼んで描いていますが、夫人を退屈させてないために自身の妻を呼び寄せギュメ夫人の相手をお願いしています。
マネは、その際の妻の様子を描いた作品も制作しています。
作品 温室にて
自身の友人夫妻をモデルに当時の上流階級の夫妻の様子を描いた作品は、夫妻の関係性について鑑賞者に想像をさせる作品となっています。
「温室にて」
(1879年)
夫がベンチの柵に肘をついて妻に話しかけていますが、夫人の視線は別の方をみて夫に無関心な様子が描かれています。
この視線の描写は、女性の自意識、独立心が芽生えていた当時の女性の様子を描いたものと言われています。
また、二人の間の柵が、夫婦間の微妙な関係を示しているとも考えれれます。
夫婦間の微妙な関係を表現しているような本作品ですが、作品の中心には結婚指輪をした二人の手が描かれており、夫婦間の絆を表しているようにも見えます。
また、人物の縦のラインとベンチの横のラインで作品にとても安定感を与えています。
また、本作品制作に際して、マネはギュメ夫人の相手をしてもらうため妻を呼び寄せていますが、その際の妻の様子も描いています。
「温室のマネ夫人」
(1879年)
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