印象派の先駆けとして挑戦的な作品を発表していたエドゥアール・マネの作品「舟遊び(ボート遊び)」です。
本作品「舟遊び(ボート遊び)」は、場面を上からみる視点で描き、水平線を描かずに額縁で仕切るような描写がされており、日本の浮世絵の影響を受けていると言われています。
そのため、本作品からは奥行きが感じられず二次元性の強い作品と言えます。
マネ自身は印象派には否定的な面もあり、印象派展には出品することはありませんでしたが、本作品の題材は多くの印象派の画家が題材にしたセーヌ川で舟遊びをする人々と川の水面を題材にしています。
作品 舟遊び(ボート遊び)
本作品のモデルとなっている男女は、男性がマネの義弟ルドルフ・レーンホフ、女性が印象派の代表的な画家クロード・モネの妻カミーユ・モネであろうと言われています。
「舟遊び(ボート遊び)」
(1874年)
作品中央に男性が描かれ、白い上下の服で目立っており、鑑賞者の視線がはじめに誘導される対象としているようです。
また、奥行きがなく単調な水面の描写に対して、男性が浮かびあがるような印象を受けます。
クロード・モネなどの他の印象派画家の水面の描写とは違い、あまり水面の光の反射の描写はしていません。
マネは、水面での光の描写よりも、女性のドレスの独特な筆跡で光の表現をしているようです。
縦に流れるような筆跡で、生地の柔らかさと光の反射の表現を試みています。
二次元性が強いさくひんとなってしまうため、作品右側にマストを描き鑑賞者に背景となる水面と舟の上の人物との境を意識させる工夫がされています。
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