パリ大改造が行われていた当時、エドゥアール・マネが自身のアトリエで実際に目にしたであろう人々を描いたと思われる作品です。
また、この作品は過去や同時代のいろいろな作品の要素を集めた寄せ集め(アッサンブラージュ)作品でもあります。
作品:老音楽師
「老音楽師」
(1862年)
流しのヴァイオリン弾き(老音楽師)を中心に赤ん坊を抱くジプシー風の少女、町の少年たち、興味が無さそうにそれを見ている大人達が描かれています。
人物たちの目線はそれぞれ合っておらず、それぞれが孤立しているようです。
特に物語性はなく、マネは当時のパリの現状を淡々と描いたと考えられています。
参照した作品
本作品は、過去や同時代の作品を参照して制作されたとされています。また自身の作品で描いた人物もそのまま登場させていたます。
参照作品:ベラスケス 「バッカスの勝利」
「バッカスの勝利」
(1628-1629年)
左上にブドウの木葉、右上に帽子をかっぶた男性を配置する人物配置を参照したとされています。
参照作品:ル・ナン兄弟 「笛を吹く老奏者」
「笛を吹く老奏者」
(1642年)
笛を吹く老人、少年たちと少女の描写を参照したとされています。
参照作品:アントワーヌ・ヴァトー 「ピエロ(ジル)」
「ピエロ(ジル)」
(1718-1719年)
少年2人のうちの左側の少年の服装は、アントワーヌ・ヴァトーの「ピエロ(ジル)」からの着想と考えらています。
参照作品:アンリ・ギヨーム・シュレンジンゲル 「さらわれた子供」
「さらわれた子供」
(1861年)
作品の左端に描かれている少女は、アンリ=ギヨーム・シュレジンゲンの「さらわれた子供」の右端に描かれている赤ん坊を抱いている少女を参照したとされています。
参照作品:エドゥアール・マネ 「アブサンを飲む男」
「アプサンを飲む男」
(1859年)
マネ自身の作品であり、1859年にサロンに出品したものの落選した「アブサンを飲む男」をそのまま使用しています。
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