印象派の創設に大きく関るとともに、自身は写実主義としてバレエの踊り子を描いた作品を多く制作したエドガー・ドガの作品「グランドスタンド前の騎手」です。
ドガはバレエの踊り子同様に当時パリで流行していた競馬の様子も多くえがいており、本作品もその中の一作です。
本作品は、おそらくスタートに向かってスタンド前を行く馬と馬上の騎手たちを描いた作品かと思われます。
レースの躍動感ではなく、レースの前の緊張感、静粛な様子が描かれている作品です。
作品 グランドスタンド前の騎手
エドガー・ドガがバレエの踊り子とともに作品制作の対象として好んだ競馬の様子を描いた作品の一つです。
「グランドスタンド前の騎手」
(1869-1872年)
ドガの描く競馬の様子は、レース中の躍動感よりは、レース前やレース後の静かな様子を描いた作品が多く、本作品もレース前を描いているようです。
画面中央付近で、唯一動きがある競走馬と騎手が描かれ、その競走馬を起点に強い遠近法で画面が構成されているようです。
また、画面を左と右に分けて、左に馬の列から離れてスタンドに立つ競走馬と騎手を描くことで、レース前の緊張感、レース場の静粛な様子を印象付けているようです。
ドガはバレエの踊り子も含めて、作品の登場人物の表情をあまり描きませんが、本作品に登場している騎手や観客、競走馬も表情が描かれておらず、作品のイメージを鑑賞者に委ねているような印象です。
コメント