19世紀に若い画家たちを中心にできた印象派の創設時からのメンバーであるエドガー・ドガの作品「フェルナンド座のララ嬢」です。
第4回印象派展の出品作品です。ドガは、他の印象派の画家とは違い室内の人工的光の中の様子を描いた画家で、本作品ではサーカス団員のララが自身の歯のみで天井近くまで吊り上げられる曲芸を描いています。
天上に吊り上げられるララを見あげるような構図は、当時でも珍しく鑑賞者に本作品を強く印象付けたようです。
ドガはララの曲芸を魅了され、フェルナンド座に4回ほど訪れたようです。
作品 フェルナンド座のララ嬢
フェルナンド・サーカスは当時、若い画家が多くすんだモンマルトル近くの広場で行われ多くの若い画家達も訪れていたようです。
「フェルナンド座のララ嬢」
(1879年頃)
当時はサーカスを双眼鏡で観覧しており、本作品の視点も双眼鏡を覗き込んだような視点にも見えます。
ドガは、他の印象派の画家が屋外での作品制作により自然の光や光を映す水のゆらめきなどの表現を探求したのに対して、屋内で人工的な光を描くことを好みました。
ドガが屋内での作品制作を好んだのは、普仏戦争で従軍した際に目の病気を患った影響とも言われています。
本作品「フェルナンド座のララ嬢」では、ララを下から照らす人工的な光を描写しています。
サーカス団員のララはフェルナンド座の花形の団員で人気があったようです。ドガはララが自身の歯のみで体重を支えるという過酷な演技の最中を描写しています。
下から照らす光の描写とララの髪が乱れる描写などで、緊張感を与えています。
吊り上げられるララは画面の左側に描写され、右側はサーカスが行われている建物の天上や壁が正確に描かれ、天井の高さを印象づけています。
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