印象派の創設から関り印象派の画家とされているエドガー・ドガですが、画風自体は印象派の様な光の描写ではなく、写実的な人物の描写、とくにバレエの踊り子の様子を多く描いています。
本作品「階段を上る踊り子たち」もバレエの踊り子たちを描いた作品です。
上流階級の家庭の出身のドガは、オペラ座の会員となっておりオペラ座の楽屋などにも入ることができ、練習中の踊り子たちなどを多く描いています。
横長に長い本作品では、階段を上って練習場にいく踊り子たちと練習中の踊り子たちを左右に配置し明暗をつけて対比しているようです。
作品 階段を上る踊り子たち
横長の作品で左右にそれぞれ違う要素を描いて対比させているような作品です。
「階段を上る踊り子たち」
(1886-1890年)
階段を上ってきた踊り子を中央に配置し、壁を利用して画面を左右に分割しています。
壁で分割された左右は明暗対比されています。
踊り子自身も体半分には光があたり、背中は暗く描かれています。
また、左右の画面分割を利用して、手前の階段の踊り子たちと奥の練習中の踊り子たちに遠近を待たせていますが、鑑賞者には階段を上ている様子のによって遠近を強く感じさせるような描写となっています。
ドガは、踊り子を描いた作品を多く制作していますが、画面中に空白を作ることが多く、それまでの西洋画では珍しい構成でした。
本作品でも左上、右下は壁と床のみの描写となっています。
「舞台の二人の踊り子」
(1874年)
「バーで練習する踊り子たち」
(1877年)
当時は、日本の浮世絵が流行しておりドガも愛好家だったまえ空間の多用は浮世絵の影響と考えられています。
コメント