印象派創設に大きく関わり、バレエの踊り子を描いた作品の印象が強いエドガー・ドガの作品「雨の中の騎手」です。
ドガは、バレエ同様に当時イギリスから伝わりフランスでも流行しはじめた競馬にも興味を持ち、競馬の様子を描いた多くの作品を制作しています。
ドガの競馬の作品は、競争している場面は少なく、レース前など静謐な状況のなかの馬と騎手を描いた作品が多くなっています。
本作品「雨の中の騎手」も雨が降る中、動きを止めたような様子の馬と騎手が描かれています。
作品 雨の中の騎手
雨の中、対角線に並んだ馬と騎手が描かれており、意図的に馬や騎手の動きを抑えて描いているようです。
「雨の中の騎手」
(1880年)
画面の対角線上に馬を配置し、遠近の表現をするとともに馬の動きを抑えた印象を与えています。
対策線を境に左下は芝生のみとして対象物が無く、馬と騎手は対角線の右上に描かれおり、ドガのバレエの踊り子を描いた作品でも多様していたスペースを意図的に開けた構図のようです。
スペースを意図的に開ける構図は当時パリで流行していた日本の浮世絵の影響と言われています。
(参考)「踊りの稽古場にて」
(1884年頃)
また、本作品には雨の様子が描かれていますが、薄く線を引いたように雨を描いています。
この雨の表現も日本の浮世絵の影響と思われいます。
「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」(歌川広重)
ドガ自身も浮世絵の愛好家であったことから、画面構成や雨の表現など浮世絵に影響うけた作品があるとともに、パステル画で作品を制作したドガと浮世絵の愛称はよかったのかもしれません。
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