ドガと言えば、踊り子。ロートレックと言えばムーラン・ルージュです。
二人とも同時代の画家で、ドガの方がかなり年上でロートレックはドガを尊敬し、ドガから大きな影響を受けていました。
ドガとロートレックは、洗濯に従事する女性を描いています。
当時は、多くの女性が洗濯に従事しており、また、電化されていない洗濯とアイロンは重労働でした。
ドガの「アイロンをかける女たち」
19世紀のパリでは、多くの女性が洗濯の仕事をしていました。洗濯機はもちろんなく、アイロンも電化されていません。
アイロンは、熱した石炭の上において熱して使用したいたので、仕事場は、かなり蒸し暑かったようです。
「アイロンをかける女たち」
(1884-1886年)
右手の女性は、熱心にアイロンをかけていますが、左の女性は大きなあくびをして、手に持つのはワイン瓶のようです。
この作品では、右の女性の服のピンク、左の女性の服のオレンジ、瓶の緑の色使いで重労働の過酷な環境を緩和しています。
ドガは洗濯に従事する女性達の作品を多く制作しています。
当時は都市化が急速に進みパリの街も整備されていきましたが、その裏で女性たちが重労働に従事している様子を描こうとしていたと言われてます。
ロートレックの「洗濯女」
トゥールーズ=ロートレックは、貴族出身の画家でしたが、ダンスホールの「ムーラン・ルージュ」や酒場に入り浸り、そこで働く女性達を描きました。
体に障害を持っていたことから、夜の世界の女性達に共感をもっていたと言われています。
「洗濯女」
(1886年)
ロートレックは、ドガを尊敬し、ドガが多く描いた洗濯に従事する女性を描きました。
作風はドガに影響されていますが、色合いはドガよりも暖かく描かれています。
女性の表情は描かれていませんが、何か強い意志があるように見えます。
ロートレックは、夜の世界の女性達も含め、民衆が厳しい社会をたくましく生き抜く姿を描きました。
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