カミーユ・ピサロは、印象派の代表的画家ですが印象派の画家たちの中で最年長であったことから、よく画家たちの間を取り持ったり、印象派から距離をおいていたポール・セザンヌやポール・ゴーギャンなどの才能をいち早く認めていた画家でもあります。
本作品「カフェ・オ・レを飲む若い農婦」は主に風景画を描いていたピサロが人物画を徐々に描くようになった時期の作品で、第7回印象派展に出品された作品です。
作品 カフェ・オ・レを飲む若い農婦
本作品は、風景画を主に制作していたピサロが人物を描くようになった時期の作品です。
印象派特有の筆触分割で描かれ、普通の若い農婦が休憩しているところを描写した静かであたたかな印象を与えれる作品です。
「カフェ・オ・レを飲む若い農婦」
(1881年)
基本的には農婦の表情などはあまり詳細に描写しておらず、農婦の個人の特徴を無くし、鑑賞者がもつ一般的農婦の印象に委ねています。
しかし、筆跡を細かく残した描写は農婦が落ち着いた気持ちでカフェ・オ・レをかき回しているのがわかります。
画面上では農婦の体や視線は画面の対角線を意識した構図でえがかれており、窓から差し込む光も対角線上に描かれ、作品に安定感を与えて鑑賞者に安心感を与えています。
画面の構図からも鑑賞者は本作品に静かで落ち着いた印象を受けるように工夫されています。
また、配色の色数も抑えられており、静かな印象を増しています。窓の外の描写もとても簡易的な描写に抑えています。
本作品制作当時、若い印象派画家達の間では、印象派展とともにサロンへも作品を出品するモネやルノワールとサロンへの出品を否定するドガのグループで分かれており、その間を取り持とうとしていたのがピサロでした。
ピサロはグループ間の調停を試み続けたようですが、本作品を出品した第7回印象派展の4年後の第8回の印象派展が最後の印象派展となってしまいます。
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