バッロク絵画が隆盛する先駆けともなった16世紀イタリア人画家ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョの作品「マルタとマグダラのマリア」です。
マグダラのマリアとは新約聖書に登場する聖人で娼婦だったマリアはイエス・キリストに会った後、回心するとともに、イエス・キリストの磔刑や復活を目撃する人物です。
マルタはその姉で、本作品では姉のマルタがふしだらな生活をしている妹マリアにキリストの奇跡を教えながらマリアの生活を改めさせようとしている様子が描かれています。
作品に描かれている姉妹のモデルとなっている女性は、カラヴァッジョの他の作品にもよくモデルを務めた女性で、裕福な貴族を相手にする高級娼婦だったようです。
作品 マルタとマグダラのマリア
本作品は、カラヴァッジョが最大の支援者である枢機卿フランチェスコ・マリア・デル・モンテの為に描いたと考えられている作品です。
「マルタとマグダラのマリア」
(1598年頃)
左に描かれているのが妹を諭す姉マルタで右がマグダラのマリアです。
姉のマルタは控えめで地味な服装、妹のマリアは胸元が広くあいた派手の服装で描かれています。
姉がイエス・キリストの起こした奇跡を妹に説明していおり、妹のマリアの心が回心へ向かっている様子がマリアの表情や右手にもつ花で表現されています。
回心へ向かうマリアへは特別に光が当たっているような描写です。
マリアが決別しようとしている虚栄の生活の象徴として鏡が描かれており、マリアは左手を置いています。
マリアが鏡に置いた指先が部屋の光源でマリアに当たっている光が入ってきている窓を指しています。
本作品に描かれている2人のモデルをカラヴァッジョは他の作品でも描いています。
姉マルタのモデルはアンナ・ビアンキ―二という女性で、「悔悛するマグダラのマリア 」などでモデルを務めています。
「悔悛するマグダラのマリア」
(1597年頃)
妹のマリアはフィリデ・メランドロー二という女性で、「アレクサンドリアの聖カナリア」などモデルを務めています。
「アレクサンドリアの聖カナリア」
(1598年頃)
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