ルネサンス後の絵画の主要な画風となったバロック絵画の先駆けとなったミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョの出世作の「聖マタイの召命」です。
「聖マタイの召命」は、イエス・キリストが徴税人のレビ(後の聖マタイ)に声をかけて自分の弟子にしたという聖書の一場面を描いた作品です。
光と影のコントラスト
本作品で特徴的なのは、光と影のコントラストです。
窓から差し込む自然光により人々は立体的に描かれるとともに、画面に奥行きを与えています。
また、自然光が人々を照らす神の光であるような劇的な描写です。
「聖マタイの召命」
(1600年)
また、カラヴァッジョは登場人物に自分と同時代の服を着せて、今現実に起こっている出来事のように作品に臨場感を持たせています。
マタイは誰
作品中の誰がマタイなのかは、諸説あり判明していません。
作品はイエス・キリストが、人々に嫌われていた徴税人であるマタイに声をかけ弟子にするシーンを描いています。
当初は、自らを指さす長い髭の男性がマタイだと思われていましたが、その隣で、うつむいてお金を数える若者がマタイであると言われています。
カラヴァッジェスキ
カラヴァッジョの卓越した写実性と明暗のコントラストは、その後の多くの画家に影響を与えました。
カラヴァッジョの作風を踏襲したり研究したりした画家たちを総称してカラヴァジェスキと呼ばれます。
「ホロフェルネスの首を斬るユーディット」
(1598-1599年)
カラヴァッジョは光と影のコントラスト、特に一方向からの光源で対象物を浮かび上がらせる画法を確立しました。
カラヴァジェスキ の中でもルテミジア・ロミ・ジェンティレスキは、カラヴァッジョの 「ホロフェルネスの首を斬るユーディット」 を倣って同名の作品を制作しています。
「ホロフェルネスの首を斬るユディト」
(1620年頃)
カラヴァッジョ
本作品で一躍、売れっ子画家となったカラヴァッジョですが素行が悪く、34歳の時に喧嘩相手を殺してしまい、ローマを追われます。
マルタ、シチリアなどイタリア各地を逃亡し、38歳のときに病で亡くなったとされています。
「カラヴァッジョの肖像画」
(1621年)
カラヴァッジョは、デッサンをせず、直接キャンパスに絵を描いたようです。
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