バロックの巨匠ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオがイエス・キリストがユダの接吻を合図にローマの兵士たちに捕縛される場面を描いた作品「キリストの捕縛」です。
本作品「キリストの捕縛」は18世紀頃から所在が不明となり、1990年にアイルランドのイエズス会の建物で発見され、1993年にカラヴァッジョの作品として公表されました。
現在は、イエスズ会から寄託されたアイルランド国立美術館に所蔵されています。
作品 キリストの捕縛
カラヴァッジョの作品らしく、明暗対比がハッキリとした描写の作品です。
「キリストの捕縛」
(1602年)
作品の人物は左から使徒ヨハネ、イエス・キリスト、使徒ユダ、兵士3人とランタンを持っている男です。(兵士の3人目はランタンを持つ男でほとんど描写されていません。)
ユダがイエス・キリストの接吻をし、兵士たちにイエス・キリストが誰か示し、兵士たちがイエス・キリストを捕縛しようとしている場面です。
右のランタンを持つ男性はカラヴァッジョの自画像ではないかと言われています。
作品の左で逃げようとしている使徒ヨハネと対象的に描かれており、使徒ヨハネと比べても自身がイエス・キリストを信じていると示す描写ではないかとの説があります。
作品中の光源は描かれていませんが、左斜め上からイエス・キリストを照らし最も明るくイエス・キリストを描写しています。
また、作品の対角線上にイエス・キリストとユダを配置し、イエス・キリストを照らすとともにイエス・キリストをつかめる兵士の腕の磨かれた鎧も照らしているようです。
兵士の腕の鎧の描写は詳細で、光を反射して目立つように描かれています。
カラヴァッジョは意図的にイエス・キリストを捕縛しようとしている兵士の腕を目立たせていると言われています。
鑑賞者に「ユダのようにイエス・キリストを裏切る行動を日頃行っているのではないか」との問いかけの意味を持たせるためイエス・キリストを捕縛しようとする兵士の腕を目立たせているのではないかとの説です。
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