ギュスターヴ・カイユボット 「ボート漕ぎ」

絵画

上流階級出身のカイユボットは、画家としての活動とともに、印象派やポスト印象派の画家達を経済的にも支えた人物です。

カイユボットが画家達への経済的支援もかねて画家達から作品を購入、コレクションしていたこともあり、印象派画家の作品が海外へ流出することなくフランス国内にとどまったと言われています。

カイユボット自身も画家として作品を制作、印象派画家とされますが、写実的な作風が多く、同じように印象派画家とされるも自身は写実主義としていたエドガー・ドガと似ています。

本作品「ボート漕ぎ」では、画面の大半を水面と森の木々で描き、印象派的な描写を意識的に試みているような印象です。

作品 ボート漕ぎ

本作品「ボート漕ぎ」は、「イエール川でボートを漕ぐ人」とも呼ばれます。

イエールは、パリ南東18kmにある自然が多い地区で、カイユボットの別荘があり、別荘に滞在していた時期に制作した作品です。

ボート漕ぎ(イエール川でボートを漕ぐ人)
1877年

1877年
ギュスターヴ・カイユボット
「ボート漕ぎ(イエール川でボートを漕ぐ人」
ナショナル・ギャラリー(アメリカ ワシントンD.C.)

本作品は第4回印象派展に出品されています。

写実的な描写が多いカイユボットですが、本作品では印象派的な筆触分割による水面の描写をしています。

また、画面後方の光を浴びる木々の様子も印象派的な描写となっています。

ボートを漕ぐ人々は同じ服装で表情も描かれおらず、個性を意図的に無くしており、鑑賞者の視線が水面や木々に行くようにしており、自身の印象派的描写を強調しているようです。

カイユボットの作品は、写実的な他に、強調された遠近法が特徴的ですが、本作品でも遠近法が強調されています。

(参考)「パリの通り、雨」(ギュスターヴ・カイユボット
1877年

1877年
ギュスターヴ・カイユボット
「パリの通り、雨」
シカゴ美術館蔵(アメリカ シカゴ)

画面の中央線上に支点を配置し、そこから川が伸びるような描写をしています。

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