印象派を代表する画家クロード・モネが1883年~1886年まで毎年訪れたエトルタの海を描いた作品の一枚「エトルタの嵐の海」です。
エトルタは、フランス北西部 ノルマンディー地方にあるのどかな町でモネは特徴的な崖の様子と海の様子を訪れるたびに複数枚制作しています。
一般的にモネの作品のイメージは「睡蓮」や「舟遊び」のような穏やかな水面のイメージがありますが、本作品は荒れた海の様子を描いた珍しい作品です。
作品 エトルタの嵐の海
モネが1883年~1886年の3年間に毎年訪れて描いたエトルタの海岸を描いた作品の一枚です。
「エトルタの嵐の海」
(1883年)
モネがエトルタに最初に訪れた1883年に描かれた作品です。
モネがエトルタに訪れ滞在したのが1~2月の冬だったこともあり海が荒れていた日が多かったのかもしれません。
最初に鑑賞者の目が引き付けられるのは、荒れた海の波の描写です。
水面に映る陽の光の移り変わりの様子などを表現しようとしていたモネが、荒れる海の波の様子を短い弧の繰り返しで表現しているのが興味深い作品です。
波の筆跡とは逆に曇り空の描写は下に雨が降るような筆跡で直線的に描いており対象的です。
そして崖の岩肌は横の短い筆跡で表現しており海と空の境界を強調している印象です。
画面下に嵐から守るために藁をかけられた船と座礁したような船と傍に人が二人描かれていますが、非常に小さい存在として表現されています。
二人の人の描写で海の荒々しさがより強調されているようです。
本作品の海の表現は、他のモネが描く水面と比較すると珍しい表現の作品と言えるかと思います。
(参考)「アルジャントゥイユの橋」(クロード・モネ)
(1874年)
(参考)「舟遊び」(クロード・モネ)
(1887年)
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