印象派の代表的画家クロード・モネが自身の生まれたばかりの息子を描いた作品「揺りかごの中のジャン・モネ」です。
モネのキャリア初期の作品で、当時はまだ未婚で恋人関係にあったカミーユとの間にできた子供、ジャン・モネを描いています。
当時のモネは画家として成功する前でカミーユとの結婚もモネの実家から認めてもらえずにいた時で、身籠のカミーユをパリにおいて実家で作品制作をおこなっていました。
息子の誕生を聞いて、パリに一時的に戻り描いた作品と言われています。
作品 揺りかごの中のジャン・モネ
カミーユとの結婚も認められず、サロンにも落選して精神的にも経済的にも困難な時期に息子が誕生しその喜びと感動のもと描いた作品と考えられます。
「揺りかごの中のジャン・モネ」
(1867年)
生まれたばかりの自身の息子の表情は、傍らの女性を見つめているような描写ですが無表情です。
まだ自我がない無垢な存在であることを表現しているようです。
まだ、印象派と呼ばれる前の作品ですが、後に印象派モネの特徴ともなる筆跡を利用した描写方法が少し見られます。
花柄のカーテンや女性が被っている帽子は筆跡を利用して描かれています。
この描写はモネの先輩でもあり、印象派へ大きな影響を与えた画家エドゥアール・マネの影響とも言われています。
また斜め上から見た状況の描写や女性が途中で画面から切られている描写は、日本の浮世絵の構図の影響とも考えられます。
作品に描かれている女性は、母親でもあるカミーユという説とピサロの恋人で後にピサロと結婚するジュリー・ヴェリーとの説があります。
ジュリー・ヴェリーは当時、カミーユの近所に住んでいたようです。
モネは、本作品の3年後にカミーユと正式に結婚しています。また、ピサロも同じく3年後にジュリー・ヴェリーと結婚しています。
赤ん坊と一緒に描かれている黄色く大きな風車と遊具の上の赤い飾りがアクセントとなっており、鑑賞者の視線を最初に自身の息子にくるよう誘導しているようです。
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