印象派の代表的な画家クロード・モネが作品が売れるようになり、経済的に安定してきた時期に描いた作品「舟遊び」です。
最初の妻のカミーユが亡くなった後に、再婚したアリスの娘たちをモデルに描いた作品です。
当時、モネは再婚したアリスと子供たちと共にパリから70kmほど離れたジヴエルニーという場所に引っ越しており、自宅から近いセーヌ河の支流のエプト川に小舟を浮かべて遊ぶ家族の様子を複数の作品として描いています。
現在、ジヴェルニーの自宅の庭は”モネの家”として観光地になっています。
本作品は東京の国立西洋美術館に所蔵されています。
作品 舟遊び
本作品は、再婚したアリスの連れ子で自身の子供となった2人の娘をモデルに描いていますが、主題は、モネが生涯取り組んでいた水の揺らめきや光の揺らぎの描写が目的となっています。
「舟遊び」
(1887年)
モデルとなっている娘の顔はぼやかされており、表情は描かれていません。
人物の輪郭線も描かれておらず、あえて人物を目立たせないようにしているようにも感じます。
白い服が光を反射している描写の方が人物よりも目を引いています。
小舟と二人の影で暗く描写した水面と、画面上方の鮮やかな青色の水面が対比さています。また、水面の揺らぎとともに反射する光の対比も表現されています。
モネが生涯、興味を抱いていた水の揺らめきと光の表現を描こうとした作品であることがわかります。
また、本作品では小舟の半分から先が断ち切られており、西洋絵画ではあまり見られない構図のようですが、この構図は、当時、流行して、モネも収集していた日本の浮世絵から学んだ構図と考えられています。
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