印象派の代表的画家クロード・モネの作品「郊外の列車」です。
まだ、印象派が誕生する前の作品で、モネの特徴となる筆触分割による光の表現が確立していない作品です。
産業革命後の当時では列車が最先端科学の象徴的な存在で、モネ自身も「サン=ラザール駅」など作品に残していますが、本作品では列車自体は描かれていません。
列車の煙突からでる煙と客車が描かれているのみで、主題は緑の豊かな広場とそこの人々のような描き方となっています。
作品 郊外の列車
当時の最先端技術の象徴である列車と緑の広場が対比されたような作品です。
「郊外の列車」
(1870年)
列車自体は木々の後ろで描かれておらず煙と客車のみの描写となっており、画面上での存在感も小さいものとなっています。
列車で空の白系の色と木々や広場の緑色とを画面上でハッキリと分けている印象を受けます。
開けた広場に数人の人が小さく描かれていますが、日傘をもつ夫人と小さい子供は、モネの妻カミーユと息子ジャンだと推測されいます。
似たような様子の二人は度々、モネの作品に登場しています。
「ひなげし」
(1873年)
「散歩、日傘をさす女性」
(1875年)
印象派的特徴となる筆触分割は、まだ確立途上の作品で、木々の表現に筆触分割は見られるものの芝の表現には筆触分割による表現はみられません。
本作品制作後、普仏戦争が勃発しモネはロンドンに避難、そこでターナーやコンスタンブルの風景画にふれ印象派的な画風が確立されたと考えられています。
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