フィンセント・ファン・ゴッホが精神を病みサン=レミ=ド=プロヴァンズの精神病院で療養中に制作した作品です。
ピエタとは、磔により死したイエス・キリストを聖母マリガが自身の腕に抱くという新約聖書のなかでも最も印象的な場面のことを指します。
ゴッホは、ロマン主義の巨匠ウジェーヌ・ドラクロワの「ピエタ」を題材にし自分なりの解釈を加えて模写しました。
サン=レミの精神病院で模写を始めたゴッホですが、本作品はその時の模写の最初の作品とも言われています。
作品 ピエタ(ドラクロワによる)
本作品はドラクロワの作品を模写したものですが、作品中のイエス・キリストはゴッホ自身を描いたと言われています。
「ピエタ」(フィンセント・ファン・ゴッホ)
(1889年)
赤毛の髪や髭はゴッホ自身を描写したもので、磔とされたイエス・キリストに自身の現在の精神状況を投影したと言われています。
また、イエス・キリストを抱く聖母マリアの手は、ゴッホが尊敬し描き続けてきた労働者階級の手のような描写とされています。
ゴッホは、本作品でイエス・キリストの黄色の衣服と背景と聖母マリアの青色の衣服で色彩を明確に対比して、視覚的にも鑑賞者に強い印象をのこす効果を与えています。
ゴッホは、本作品をドラクロワの「ピエタ」の実物の作品ではなく白黒のリトグラフをもとに模写しました。
最初は、小さい作品を制作、その後、本作品を制作したようです。
最初の模写
「ピエタ」(ウジェーヌ・ドラクロワ)
(1850年頃)
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