18世紀ロココ時代のフランスの画家でありながら華美なロココ調の画風ではなく素朴な静物画や民衆の生活風景を描いたジャン・シメオン・シャルダンの作品です。
本作品は「洗濯する女」の他「洗濯女」「洗濯する小間使い」と呼ばれることがあります。
シャルダンが風俗画を描き始めた初期の作品で、当時フランスで流行していた17世紀オランダ絵画の画風を取り入れて描かれています。
作品 洗濯する女
静物画「赤エイ」という作品で認められてアカデミー会員となったシャルダンは、当時画家としての成功に不可欠な人物描写をするようになります。
「赤エイ」
(1725年頃)
当時のフランスでは17世紀オランダの風俗画が人気を博しており、静物画よりも風俗画を描くことは収益を得ることにも重要でした。
「洗濯する女」
(1730年代)
若い母親の表情と隣で遊んでいる子供様子から家庭的なイメージを受けるようになっています。
また、母親と洗濯桶、子供で三角形を構成し作品の人物配置に安定感を与えています。
また、左側の母親と対となるようにドア越しに洗濯物を干す女性が描かれています。
作品中に戸や窓から外の様子を描く方法は17世紀のオランダ風俗画でよく描かれていました。
「母親の義務」
(1658-1660年)
シャルダンは本作品を3作制作したことが分かっています。他の一点はロシアのエルミタージュ美術館に所蔵されていますが、もう一点は第二次世界大戦で焼失してしまいました。
「洗濯する女」(エルミタージュ美術館蔵)
(1730年代)
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