18世紀のロココ期に活躍したジャン・シメオン・シャルダンの作品「独楽を回す少年」です。
シャルダンは本作品を「独楽の回っているのを熱心に見つめる宝石商シャルル・ゴドフロワの息子の肖像」として1738年サロンに出品しています。
モデルの少年は、当時の宝石商シャルル・ゴドフロワの二人の息子のうち下の息子オーギュスト・ガブリエルで、当時10歳でした。
オーギュスト・ガブリエルは、成人後、フランス海軍の要職を務めるとともに著名な美術収集家となっています。
作品 独楽を回す少年
18世紀のフランスは甘美で豪華なロココ全盛時で貴族の生活を描いた作品が多かったのですが、シャルダンは中産階級の人々を描いた作品を多く制作しています。
また、シャルダンは子供が一人で無心に遊ぶ様子を好んで描いており、本作品もそのなかの内の一作です。
「独楽を回す少年」
(1738年)
少年は、大人のような服装をしており、顔や体と比べると手が大きめに描かれています。
机の上には、本、インク壺、紙が描かれ、引き出しからはデッサン用のチョークのような物が描かれています。
机は少年の勉強机のようですが、独楽以外は大人が日常で使うもののように思えます。
シャルダンは独楽に傾きをもたせ、ぼんやりと影を描くことで本当に独楽が回っているようにえがいています。
独楽を見つめる少年の顔と独楽以外は、大人が普段使う物が描かれており、より子供が無心で独楽で遊んでいる様子を強調していると思われます。
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