19世紀のフランス画壇の巨匠ジャン=レオン・ジェロームがギリシャの物語を題材に描いた作品です。
アレオパゴスとは古代アテナにあった小高い丘のことで、そこに実力者たちが会議を行う元老院のような政治機構がおかれ会議が行われました。
フリュネとは、当時の高級遊女のひとりの女性の名前です。
本作品は訴えられたフリュネがアレオパゴスで裁判を受けている様子を描いています。
作品 アレオパゴス会議のフリュネ
「アレオパゴス会議のフリュネ」
(1861年)
赤い服で座っている男性たちは裁判官で、フリュネは神への冒涜をした疑いで訴えられたそうです。
しかし、神への冒涜は口実で高級娼婦であったフリュネは多くのアテナイの実力者から高額な報酬を得ており、巨万の富を築いており、その腹いせに訴えられたとされています。
左の青いマントを羽織った男性はフリュネの弁護をしたヒュペイデスという人物でプラトンやソクラテスから教えを受けたアテネ十雄弁家の一人で、フリュネの恋人でもありました。
彼は、裁判が不利に運んでいるところで、フリュネの服をはぎ取り彼女の裸体をあらわにしました。
そして「この美しさに罪を問えるのか」と裁判官たちに訴えます。その美しさは神秘的で裁判官たちの胸を打ちフリュネは、無罪となりました。
作品の構成・構図
本作品はまず、フリュネの裸体に目が引かれます。作品中の男性の視線も全てそちらに向けられています。
しかし、中央の小さな黄金の像が作品中で重要な働きをしています。
中央の黄金像は作品の透視図法の消失点として描かれています。また、フリュネの肘が黄金像を示すような働きをしており、フリュネと黄金像が相似しているような印象も受けます。
コメント