18世紀のフランスは甘美・優雅な描写を行うロココ全盛で、ジャン・オノレ・フラゴナールはロココの代表的な画家です。
また、本作品のように手紙を題材にした作品はフェルメールなどの17世紀オランダ黄金期の画家達が多く描いており、フラゴナールもその影響を受けていると考えられます。
ロココ作品らしく明暗対比は意図的に弱く描かれており、作品全体は柔らかく、あたたかな印象を鑑賞者に与えています。
作品 ラブ・レター(恋文)
ロココの代表的画家ジャン・オノレ・フラゴナールが手紙(恋文)を題材に描いた作品で、女性も優雅なドレスや帽子をかぶっており、ロココらしい作品と言えます。
「ラブ・レター(恋文)」
(1770年初頭)
手紙を題材にする作品は17世紀オランダ黄金期に多く制作されており、また、窓から入る陽の下で手紙を読む構図など、オランダ絵画の影響が伺えます。
(参考)(窓辺で手紙を読む女」(ヨハネス・フェルメール)
(1658-1659年)
女性の体は斜めに描かれているものの顔は画面の中心線上に配置され、手紙と花束、それを持つ腕は画面対角線上に配置し、題材である手紙、女性の顔と鑑賞者の視線を誘導しています。
また、女性の後ろに描かれている犬は、貞操や忠誠を表すものとされており、本作品にも描かれています。
その犬に向かって、手紙⇒ 腕 ⇒ 腕と対角線上に描かれているのも意図的だと思われます。
本作品では窓かる入る陽によって影が出来ている部分がありますが、フナゴナールはあまり暗い色を使用していません。
このことにより、本作品はロココらしい柔らかく、あたたかな印象を鑑賞者に与えています。
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