フランスのロココ美術後期の画家ジャン・オノレ・フラゴナールの作品「閂(かんぬき)」です。
本作品の閂(かんぬき)は、当時ドアの鍵の役割をさせていた物を指しています。
フラゴナールは、ロココ美術の流行から古典主義へと美術の流行が移り始めていた時期の画家で、本作品では、ロココ調ながら新古典主義の要素も取り入れられている言われています。
本作品で描かれている若い男女が恋人の関係なのか、一方的な求愛なのかは鑑賞者の解釈に委ねられているようです。
作品 閂(かんぬき)
本作品は、ある男爵から依頼を受けて制作した作品とされています。
若い女性を抱えた男性がドアの閂(かんぬき)を閉め、外から人が入ってくるのを防ぐとともに女性が外に出ないようしている様子が描かれています。
「閂(かんぬき)」
(1774‐1778年)
ベットは乱れ、部屋も散らかった状況が描かれています。
ベットの隣のテーブルにはリンゴが描かれています。このリンゴは人間の罪を象徴する物として描かれています。
乱れたベットと天蓋、若い男女の様子は、その場の騒がしい様子や人から隠れて行おうとしている事への鑑賞者のドキドキとした感情をより促す効果を与えています。
フナゴナールはロココ後期の画家で、当時はフランス革命の気運が芽生え始めており絵画の様式も新古典主義へと移ろうとしていた時期でした。
フナゴナールは、本作品でロココ調を残しながらも、ベットや天蓋の描写を新古典主義の重厚な筆さばきで描いています。
フナゴナールは、1800年までルーヴル美術館の収蔵品管理を担当するなど王室の下で活躍していましたが、フランス革命による社会変革とともに画家としての評価を失い失意のうち晩年を過ごしたと言われています。
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