ジャン・シメオン・シャルダン 「素描する若い学生」

絵画

ロココ期のフランスの画家でありながら、ロココの特徴でもある優美・甘美な様式で作品を描かず、静止画や風俗画を繊細で静謐な表現で描いたジャン・シメオン・シャルダンの作品「素描する若い学生」です。

素描する画学生」とも呼ばれる場合があります。

本作品は、シャルダンの支援者の注文により描かれたとされ、「刺繍する女」と対の作品となっています。

優美で甘美な様式が全盛だったロココ期、シャルダンは素朴で庶民的な様子の学生を描くことで、当時の人々の労働する姿と投影しようとしたのでは考えられます。

作品 素描する若い学生

シャルダンが支援者からの依頼により制作した作品で、対の作品「刺繍をする女」とともにサロンに出展されています。

素描する若い学生(素描する画学生)
1735‐1738年

1735‐1738年
ジャン・シメオン・シャルダン
「素描する若い学生(素描する画学生)」
ストックホルム国立美術館蔵(スウェーデン・ストックホルム)

若い学生の身なりは、服に穴もあいておりあまり裕福ではなさそうな描写です。鑑賞者には背を向けていますが、素描に収集している様子がわかります。

落ち着いた色彩の画面に学生の体を対角線上に配置しており、鑑賞者に安心感を与えています。床に直に座り、作業に集中する姿は、当時の人々の労働する姿を投影していると考えられます。

本作品は、「刺繍する女」の対の作品とされており、両作品の対称性がはっきりとわかる作品となっています。

刺繍する女
1735‐1738年

1735‐1738年
ジャン・シメオン・シャルダン
「刺繍する女」
ストックホルム国立美術館蔵(スウェーデン ストックホルム)

「刺繍する女」では、色鮮やかな色彩の画面に女性が鑑賞者の方を向いて刺繍する姿が描かれています。

両作品は対照的な作品としてシャルダンは意識的に制作しており、同時にサロンに出典しています。

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