無数の点による描写で色と色とが画面上で交じり合わないように描く点描描写を確立し、新印象派の代表的画家とされるジョルジュ・スーラの作品「サーカス」です。
スーラは若くして亡くなってしまい、本作品は遺作となっています。また、未完成の状態です。
当時のパリの人々の間で人気を得ていたフェルナンド・サーカス団の興行の様子を描いたと言われています。
数年前にもスーラは「サーカスの客寄せ」という別のサーカス団が街中で興行の宣伝をしている様子を描いています。
本作品は、スーラの作品の中でも人の動きが最も表現されている作品と言われています。
作品 サーカス
19世紀、パリの人々の娯楽の一つとして人気を得ていたサーカスの興行の様子を点描描写で描いた作品です。
「サーカス」
(1890-1891年)
画面全体を暖色で描き、サーカスの楽し気な様子が表されています。
影や輪郭の描写は青色を使用しており、配色により画面からは柔らかい印象を受けます。
上段から下段になるにつれて、観客の服装が豪華になっており、上から下にむかって一般の人から富裕層へと座席が分けられているのが分かります。
一番上段は立ち見となっています。
観客席の水平な描写に対して、サーカスを演じる舞台は曲線が多様された描写となっています。
また、画面前景の道化師や馬の上に立っている曲芸師、黒服の男性などそれぞれの大きさが現実的な大きさではなく、写実性は無視した装飾的な画面構成を試みた作品だと言えます。
スーラの作品としては、最も人の動きを感じさせる作品となっておりますが、スーラにとっては本作品が遺作となっています。
(参考)「サーカスの客寄せ」(ジョルジュ・スーラ)
(1888年)
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