17世紀前半、バロック全盛期のフランス人画家ジョルジュ・ド・ラ・トゥールの作品「新生児」です。
「キリストの降誕」と呼ばれる場合もあります。
バロックの巨匠カラヴァッジョの影響を受け強い明暗対比を用いた作風ですが、ローソクの炎の光の描写など、カラヴァッジョとは違い、作品に静謐な印象を与える画家です。
本作品「新生児」で暗闇のなかローソクの炎の光に照らされた母子が優しく描かれています。
作品 新生児
本作品「新生児」は、聖母マリアがイエス・キリストを産んで間もなくの様子を描いた作品で、「キリストの降誕」とも言われています。
ローソクを持っているのはマリアの母のアンナとされています。
「新生児」(キリストの降誕)
(1648年頃)
ローソクの炎の光りを中心に、周りが照らされている様子の描写は、本作品がラ・トゥールの作品の判明する前から賞賛されていました。
眠る新生児(イエス・キリスト)を見つめる聖母マリアと母のアンナの表情はとてもやさしく描かれ、鑑賞者は、作品から穏やかな印象を受けます。
また、筆触も滑らかに描かれており、明暗対比で強い印象を与える作品が多いバロック期において、優しく静謐な印象を与える作品となっています。
本作品では強いアクセントになってしまう可能性があるローソクの炎自体は描かれておらず、母のアンナの手によって和らげられており、より作品に優しさと静謐さを与えています。
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