ルネサンス盛期のヴェネチア派の画家ジョルジョーネのキャリア初期の作品とされている「ユディト」です。
ジョルジョーネは、ティツィアーノ・ヴェチェッリオとともに盛期ルネサンス期のヴェネチア派の様式を確立した画家で、後の画壇にも大きな影響を与えたと言われています。
ジョルジョーネの真贋とされている作品は6点しか現存しておらず、貴重な作品の一つです。
ユディトとは、ツベリアという町に住む美しく信心深い未亡人のことで、ツベリアに侵攻してきたアッシリアの将軍ホロフェルネスを酒宴で近づいて、酔いつぶれたところを首を切り落として町を救います。
ユディトは他の多くの画家も題材にしています。
作品 ユディト
本作品「ユディト」は当初はラファエロ・サンティの作品と考えられていました。
確かにユディトの描写はとても柔らかい印象を与えており、ラファエロが描く聖母の様子をイメージさせれます。
「ユディト」
(1504年頃)
「牧場の聖母」(ラファエロ・サンティ)
(1506年頃)
ユディトは首を切り落とした将軍ホロフェルネスを踏みつけ、右手には首を切った剣を持っています。
悪である将軍ホロフェルネスを倒し、ベツリアの勝利と守護を表現しています。
将軍ホロフェルネスはジョルジョーネの自画像との説もあります。
本作品はニスに覆われたうえ幾多の不適切な修復がされたためオリジナルとはかけ離れた状態でしたが、長い年月の修復で現在の姿まで復元できました。
修復前は、背景の山々や町の様子も判別できなかったようです。
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