イギリス人画家でイギリス絵画の発展に大きく貢献したジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーの代表的な作品です。
実際の作品名は「解体されるために最後の停泊地に曳かれてゆく戦艦テメレール号、1838年」と、長い作品名がつけられています。
イギリス人に最も人気がある作品とも言われ20ポンド紙幣の裏面に本作品とターナーの肖像画が描かれています。
戦艦テメレール号
戦艦テメレール号は、イギリス海軍がナポレオン率いるフランス・スペイン連合海軍と戦い勝利したトラファルガーの海戦で活躍した戦艦です。
正式な船名はテメレーアでテメレールは、トラファルガー海戦の奮闘を讃えた愛称です。
「解体されるために最後の停泊地に曳かれてゆく戦艦テメレール号、1838年」
(1839年)
テメレールはトラファルガー海戦の活躍でイギリス人にとっては特別な戦艦で、海軍が売却を決定した際には大きく報道されたようです。
本作品の主役の戦艦テメレールが左端に描かれ構図的には珍しい配置ですが、右側に夕日が描かれバランスがとられています。
本作品は、ターナーが最も気に入っていたようで生涯手放すことはありませんでした。
新旧の対比の表現
本作品では新旧及び世代交代といった表現が込められています。
帆船の戦艦テメレールが煙突から煙をはく蒸気船のタグボートにえい航されており、世代交代をイメージさせています。
実際には、この時のテメレール号はマストも外されていたようですが、バランスも悪かったためかターナーは描き加えています。
奥には、テメレール号の昔の姿を思い出させるように帆船が小さく描かれています。
左上には月が、右下に夕日が描かれています。
月と夕日は帆船の時代の終わりと蒸気船の時代の始まりを表現しているようです。
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