ルネサンス盛期 イタリア ヴェネチアで活躍したヴェネチア派の巨匠ティツィアーノ・ヴェチェッリオの作品です。
「聖母子と聖カテリナと羊飼い」「うさぎのいる聖母」とも呼ばれています。
本作品は、ティツィアーノの成熟期の代表作と言われています。
うさぎの聖母
「うさぎの聖母」
(1525-1530年頃)
赤色のドレスと濃紺のマントの聖母マリアを中心に赤ん坊のイエス・キリスト、キリストを差し出す聖カタリナ、そして奥に羊飼いが描かれています。
聖母マリアは右手でうさぎを撫でながらイエス・キリストに視線を投げかけています。
うさぎ
うさぎは体の接触なしに繁殖できると考えられていたため、聖母マリアの処女性を表現しています。
聖カタリナ
聖母マリアにイエス・キリストを差し出している女性は聖人のアレクサンドリアのカタリアであるとされています。
アレクサンドリアのカタリアは、車輪に縛り付けられる拷問をうけたとされる聖人です。
本作品では、足元に壊れた車輪が描かれており、女性が聖カタリアでることを示してます。
果物かご
果物かごには、原罪を表すリンゴとイエス・キリストの血を意味するブドウ酒をイメージさせるブドウが描かれています。
果物かごは、イエス・キリストによる贖罪を意味していると言われています。
羊飼いの男性
右の奥の羊飼いの男性は、古代ギリシャ神話の牧神に扮したこの作品の依頼主ではないかとの意見もありますが判明しておりません。
古代の異教を表していおり、キリスト教が勝利したことを本作品は表していると考えられています。
X線調査により、当初聖母マリアは羊飼いの男性の方を向いていたことが分かっています。
遠景
背景にアルプス山脈を望む当時のヴェネチアの田園風景が描かれており、教会も見えます。
薄明りの青空にオレンジ色により夕焼けを表現しています。
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