「メデューズ号の筏」が代表作とされ、ロマン主義の先駆的な画家とされるフランス人画家テオドール・ジェリコーの作品。
本作品「エプソムの競馬」は、「メデューズ号の筏」をロンドンで公開するために同地に赴いたときに描かれた作品で、ロンドン南西部にあるある由緒ある競馬場エプソム競馬場で開催される、由緒あるレース、ダービーステークスの様子を描いたものとされています。
ジェリコーは、幼いころから馬を愛し、ジェリコーがサロンへ出品したのは3点のみですが2点が馬をモチーフにした作品で、もう1点は「メデューズ後の筏」です。
作品:エプソムの競馬
「エプソムの競馬」
(1821年)
「メデューズ号の筏」をパリのサロンに発表した際は、賞賛とともに批判を受けることとなりジェリコーは、ロンドンでの「メデューズ号の筏」を展示することを試み、成功をおさめます。
本作品は、その際に宿泊先なのどを提供した馬商人のために描いた作品とされています。
ジェリコーは、馬をモチーフにした作品をサロンへも出品。
「突撃する近衛猟騎兵士官」では金賞を受賞しています。
「突撃する近衛猟騎兵士官」
(1812年)
「エプソムの競馬」の馬の描写は、「突撃する近衛猟騎兵士官」と比べると雰囲気が大きく変わっています。
マッチョな馬の表現から、スピード感を表現するような雰囲気となっています。
ジェリコーは、ルーヴル美術館でルーベンスの作品をよく模写していましたが、ルーベンスが描くようなマッチョな強さを象徴する馬からスピードを象徴する馬へと表現を変えたと思われます。
また、暗い雲が地平線に迫る構図はイギリス風景画を代表する画ジョン・コンスタブルの影響を受けていると言われています。
フライング・ギャロップ
本作品に描かれた馬の4本の足が全て宙に浮いたような状態は実際にはありえません。
このような描写はフライング・ギャロップと言われ古典的な描写として、本作品の発表時は批判されたようです。
ジェリコーは幼いころから馬を観察、描写しておりフライング・ギャロップのことも認識していましたがあえて描いています。
競走馬の馳走感を表現し、本作品でお最も表現したい馬のスピード感を表現するためにフライング・ギャロップを描いていると考えられます。
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