17世紀スペインを代表する画家ディエゴ・ベラスケスがまだマドリードに出て王宮画家となる前、画家として独立した最初期の作品「3人の音楽家」です。
ベラスケスが確立したともいわれるボデゴン(厨房などの様子を描いた静物画)に分類されるとされています。
同じ様式で同時期に他の作品「農民の昼食」「昼食」を制作しており、独立間もないベラスケスが自身の技術の向上に加え、絵画市場への宣伝のために描いたのかもしれません。
作品 3人の音楽家
ベラスケスのキャリア最初期の作品で奥行きの描写や人物の表現に未熟な面があると言われています。
「3人の音楽家」
(1617‐1618年)
テーブルの上には、ひと塊のパン、ナイフの刺さったチーズ、ワインの入ったグラスが描かれボデコンを制作する意図で制作された作品だと言えます。
一番年少であろう音楽家は手にワインが入ったグラスを持ち、鑑賞者に視線を向けています。
また、その年少者の後ろには猿が描かれています。
何かの寓意か象徴を意図して描いたと思われますが、現在のところ明確な意味は分かっていません。
ベラスケスの初期の作品とは言え、猿の描写は緻密です。
中央の音楽家は、上を見上げ歌を歌っているようにも見えます。となりの音楽家の表情は見られず影の描写も違和感が少しあります。
ベラスケスは同時期に同様なボデコンを他に2作制作しています。
「農民の昼食」
(1618年頃)
「昼食」
(1618年頃)
いずれの作品もベラスケスのボデコンとは様式が異なるため、別の画家の作品ではないかとの説もあります。
また、「3人の音楽家」はX線調査で後世に補筆がかなりされていることが判明しています。
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