フランス新古典主義を確立した巨匠ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングルが制作した肖像画です。
この作品の制作にアングルは3年を費やしましたが、作品は大きな賞賛を得ました。
モデルは、当時20代のドーソンヴィル伯爵夫人で社交界で人気だった女性です。
作品:ドーソンヴィル伯爵夫人
「ドーソンヴィル伯爵夫人の肖像」
(1845年)
サテンのドレスの描写や夫人の髪の描写などは、他のアングルの作品同様に精密に描写されています。
鏡を描き、夫人の背面を描く事で作品に奥行きを与えています。
室内全体は彩度を抑えた色使いで、人物を目立たせているようです。
彩度を抑えた室内の描写に対して、夫人の髪飾りの赤色が映えるようになっています。
作品は典型的な構図
本作品は、安定の構図と呼ばれる画面を縦横に3分割、三角形に人物を配置しており、作品に静謐な印象を与えており、モデルの夫人を引き立てています。
さらに、夫人が顎に左手を当てるところから左手の肘に右手を添えるところで緩やかなS字ポーズとなっており、自然に夫人の顔に視線が行くような誘導線としています。
夫人のこちらを見つめる視線と神秘的な表情に引き込まれるように、アングルは作品全体の構成と仕掛けをしています。
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