デンマークの画家で19世紀後半から20世紀初頭に活躍したヴィルヘルム・ハンマースホイの作品「手紙を読むイーダ」です。
ハンマースホイはモノトーンの落ち着いた色彩で作品を制作、また、作品の多くが自身が暮らしているアパートの室内を描写した作品です。
本作品に登場している女性は、ハンマースホイの妻のイーダで、他の作品にも度々登場しています。
ハンマースホイは室内の描写が多く、室内に入り込む陽の光の様子や遠近法の使用方法などオランダ黄金期の絵画の影響を受けていると言われています。
本作品「手紙を読むイーダ」では、ヨハネス・フェルメールの「手紙を読む青衣の女性」の影響を受けていると言われています。
作品 手紙を読むイーダ
自宅のアパートの部屋で手紙を読む自身の妻をモデルに、画面全体をモノトーン基調で描いています。
「手紙を読むイーダ」
(1900年)
テーブルを含めてドアなど直線での描写が多い室内に丸みのある描写として妻イーダと食器を描いています。
画面中央より左手に妻と食器を描き、右手にドアと入り口を描いて、丸みのある描写となる女性や食器と直線的な描写となるドアと入り口を対比させているような印象です。
また、妻が手紙を読む視線は、画面対角線を示しており、垂直線で構成されている画面にアクセントを加えているようです。
ハンマースホイは、23歳の時にオランダを訪れていることが分かっています。
アムステルダム国立美術館にはフェルメールの「手紙を読む青衣の女」が所蔵されており、ハンマースホイも鑑賞しており、本作品「手紙を読むイーダ」へ影響を与えていると思われます。
「手紙を読む青衣の女」(ヨハネス・フェルメール)
(1663-1664年)
コメント