印象派の代表的画家であるピエール=オーギュスト・ルノワールの作品「食後」です。
「昼食後」と呼ばれることもあります。
ルノワールは、印象派の代表的画家ですが独自の画風を確立していき、特に人物描写をした作品を多く制作、印象派では使用を避ける黒色も使用する画風となります。
本作品「食後」でも黒色一色の服装の女性を描くなど、印象派の作品とは一線を画す作品となっています。
作品 食後
ルノワールは風景画を主とする印象派の他の画家とは違い、人物を描く事を好み本作品も産業革命後の少し生活に余裕が出てきたパリの人々を描いています。
「食後(昼食後)」
(1879年)
画面右隅でタバコに火を着けているのは、ルノワールの弟エドモン、二人の女性は、グラスを持っている女性は女優のエレン・アンドレ、黒い服の女性はマルグリット・ルグランです。
女性二人ともルノワールのモデルを度々務めています。二人の服装は意図的に白と黒で対比しているようです。
服装以外にも髪や瞳の色も意図的に対比しているように見えます。
女性二人の配色での対比とともに、テーブルの白も利用して画面全体でも白と黒の対比を行っています。
テーブルの上のカップや水差しの他、白服の女性の手の指輪など細かく描かれている一方で、黒い服の女性の手は未完成の様な不完全な描写になっています。
白と黒の配色のバランスの為に小さく描いているのか、意図せず未完のような描写とままとなったのかは不明です。
本作品はルノワールがよく訪れていたキャバレー・オリヴィエというキャバレーの庭で描かれており、代表作「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」などとともに当時のパリの人々の様子を描いた作品です。
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